素直になれない、金曜日

星屑が散ったような気がした。

瞼の裏にちかちかと、目眩に近い、眩い輝きが。




どうしてだろう、きらきらして見えて、仕方ない。
おかしくなったんじゃないかと疑って、軽く目を擦ったけれど、そうじゃないらしい。




────知りたい、と思った。





あんな綺麗な表情をみせる彼女の、その瞳にうつる世界が知りたい。


近づいて、その心に触れてみたい、と漠然と思った。





喉の渇きにも似た、“欲しい” という感情。


今まで感じたことのなかったその衝動の正体がなんなのか、まだそのときの俺にはわからなかった。




だけど。




「……あんた、優しいんだな」




ぽつり、思ったことをそのまま零したその瞬間。



彼女にまた、会えたらなって何の脈絡もなくそう思った。




< 302 / 311 >

この作品をシェア

pagetop