素直になれない、金曜日

まっさかさまに落ちてゆく

.
.


扇風機の回る無機質な音。
じめじめとした空気。


静かな部屋の中にいるせいで、
そういうものに敏感になっている気がする。


数週間後の火曜日の昼休み、砂川くんと図書室でふたりきり。




「……」




昼休みを図書室で過ごす人なんて、この学校にはほとんどいない。


だから、たいてい私と砂川くんがカウンターに座っているだけ。


今日も、もう昼休みも後半だというのに誰一人として図書室を訪れない。




そんな砂川くんとの当番も、
少し回数を重ねて慣れてきた。


もちろん、会話することはほとんどない。


大概、図書室に来て軽く挨拶して、
それからは終始無言で作業。


それが私たちの普通になりつつあったのだけれど、今日は少し違った。



突然カタン、と音がして砂川くんが私の方に体を向ける。




「……?」



砂川くんのその動作に、首を傾げると。




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