素直になれない、金曜日
“ 誕生日おめでとう。桜庭さんと当番一緒でよかった。これからもよろしく。桜庭さんが毎日笑って過ごせるいい一年になりますように。”
右上がりの、男の子っぽいけれど整った字。
丁寧に書かれた文章が、私の心に染み渡っていく。
砂川くん、砂川くん。
きみは、やっぱりずるいよ。
“一緒でよかった”
“これからもよろしく”
“笑って過ごせるいい一年になりますように”
私が欲しい言葉を欲しいときにくれる。
まるで、私の心を丸ごとわかっているみたいに。
嬉しくて、幸せで、胸がぎゅっと締め付けられて泣きそうになる。
涙がじわりと目の端に滲んだけれど、隣に恭ちゃんがいるから流れないように必死で堪えた。
嬉しくて泣くなんて、変なの。
「好き、だなあ」
小さく呟いた。それから、眩しいくらいに明るい夕日を見つめる。