桜吹雪の中で
気付いて欲しい


扉を開けると、椅子がたくさん並んでいた。本当に劇場の様な場所だった。
ステージのほうを見ると部員の人が集まって何やら話していた。みんな、動きやすい格好で運動部かと思った。

___ぱんっ、ぱんっ
「じゃあ、発声練習からはじめます!」

中村先輩がイスとイスの間の通路を歩きながら部員に声をかけた。


うわぁ…
近くにいる。動いてる。喋ってる…
本物の中村先輩だ…

私はずっと見つめていた。



「菜美さん、こっち!
座ってて下さい!ここなら大丈夫です!」


小野くんは端から二番目の席にいた。静かに、隣席に座るよう手招きしてくれた。

「ほんとに座ってていいの?!」
「大丈夫です。見学者は他にも…
ほら!」

そう言って指差したのは
私とは反対側や、後ろの方にいる女の子たちだった。

ここまで、来てるんだ…
やっぱり好きな子は来るよね…

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