桜吹雪の中で
私は今日の放課後がすごく楽しみだった。
今度はちゃんとアドバイスができるようにしようと思っていた。
夜遅くまで演劇にのめりこめるように
昼休みに勉強していた。
「菜美さん、今課題ですか?」
台本を広げながら
小野くんが声をかけてくれた。
「夜遅くなって勉強できないから、今しちゃおうと思って!」
「すごいですね!
そういえば、昨日はちゃんと帰れました?」
「大丈夫だよ!中村先輩に送ってもらったから」
小野くんが黙ってこっちを見ていた。
「小野くん、どうした?」
「菜美さん、中村先輩に送ってもらったこといつもみたいに話さないなぁ…って思いまして…
あ、僕の勘違いならすみません!
なんか、あったのかな…と」
小野くんに言われて、はっとした。
確かに中村先輩に送ってもらってテンションMAXのはずなのに、今日の朝も結子にそんな対して話していない。
あれ?
なんで?
嬉しくないの?
いやいやいや、嬉しいよ!
けど…
私は考え始めてしまった。
「菜美さん、混乱させてしまいましたか?
何があったか知りませんが
と、とりあえず、飴舐めましょ?」
そう言って、私に飴をくれた。
いつもと同じ甘い飴のはずなのに
少し苦くかんじた。