桜吹雪の中で


お昼からずっと小野くんとは気まずくなっていた。

いつもみたいに笑い合って
演劇の話をたくさんしてくれて
私の話も聞いてくれて
居心地が良かったのに…

どうして、こんなにも気まづくなってしまったのかな…



「あ、な、菜美さんは
このシーンどう思いました?


菜美さん?…大丈夫ですか?…」

「大丈夫だよ!」
また、強がった。




小野くんは持っていたペンを置いて
私の方を向いた。

「菜美さん、
ごめんなさい。」


え?…

どうして小野くんが謝るのかが分からなかった。

「道流が来てから、菜美さん傷ついてばかりですよね。

僕ももう少し道流に強く怒れたら…」


小野くんはぎゅっと体に力を入れ
下を向いていた。


小野くんが苦しんでいる姿を見て
私も苦しくなった。


「小野くん、気にしないで。
私は本当に大丈夫だからね」

小野くんが苦しんでいる姿を見て
無理に強がるというより
望んで強がった。


小野くんはまた力が入ったように見えた。




私はただ…。
一一ーーーーーーーーーーー




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