桜吹雪の中で

シャワールームは誰もいなかった。

「あれ?やだ!私洗顔料忘れてる!!」

洗顔料がないことに気づき、近くのコンビニまで向かった。



あー、ちょっと怖いなぁ…

ロッジ周辺は街灯があっても、周りは木々が多いので虫の声が凄かった。

肝試しなんてやられたら無理だわ…



コンビニに着いて、洗顔料を探していた。

ふと、コンビニの外を見た。


ーーえ?…



中村先輩に会った時と同じ…
いや、それ以上の衝動…



忘れていた。
桜吹雪の先にいた…


あの人…


間違いないと思い、急いでお会計して
外に出た。




けど、もう既にいなかった。



胸に手を当てると
ドキドキしていた。

鼓動が早くて、苦しくて…




「もう一度、あなたに会いたい…」

私はコンビニの前で崩れ落ち
泣いてしまった。



ずっと、初恋の人は中村先輩だと思ってたけど
違う。


やっぱり、私は中村先輩に恋してない。

桜の木の下の…


桜吹雪のあの人に…




「…

お願い、もう一度…

あの人に会いたい…」

私は涙が止まらなかった。


< 58 / 84 >

この作品をシェア

pagetop