桜吹雪の中で
シャワールームは男女別れていて
シャワールームから出ると男の子のほうから同じタイミングで小野くんも出てきた。
「あれ、小野くんお風呂入ってたんだ…」
「朝混むと思って、入ってしまおうと思ったんです。」
「だよねー
私もそう思って入りに来たんだ」
「あ、ぼ、僕ジュース2本あるんで
外で飲みませんか?
2人で…」
「え、…あ…」
小野くんからの誘いに嬉しくて言葉が詰まった。
「も、もちろん!!」
私たちはロッジを出てホールの前に座り
2人で乾杯した。
「今日は色々ありましたね…」
「そうだね…
小野くん、代役大丈夫?」
「大丈夫ですよ!
セリフは覚えてるし、1年は役者だったんで…何とかなりますよ!」
「そーなんだ…
…大丈夫そうだね」
小野くんの表情は自信に満ち溢れていた。
その表情を見てなんだかほっとした。
演劇への想いは部内で1番だろうなとおもった。
「本番は前髪あげるんでしょ?
私、小野くんが前髪あげてるの見たことないから気になるなぁ…」
キラキラして目で小野くんを見つめると
「な、菜美さん!
今はダメですよ!恥ずかしいので!!」
「なんでよー!!
いいじゃん!!」
「ダメです!!
ほら、本番までのお楽しみです!
あ、本番は菜美さん裏方じゃなくて、客席で見てくださいね」
「…え?なんで?」
小野くんはニコッと笑って
「いいから、いいから」
と言い、私の頭を撫でた。
夜のせいか、気分のせいか
夏のせいなのか…
また、小野くんが男らしく見えた。