彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)


―烈司に言われなくても、俺は凛を大事にしてるっつーの!!―


(そういうことじゃねぇーんだよ・・・!!)

マブであり、弟みたいな瑞希の反論を思い出し、イラッとした。


「あー!クソッ!!瑞希をギャフンと言わせてー!」

「その策、ないこともない。」


むしゃくしゃしながら吐いた言葉に返事が返ってくる。


「マジ?」


思わず聞き返せば、悪そうな笑みを浮かべながら、俺の隣に伊織が座る。

どうやら、俺とからむだけの時間はあるらしい。


(つーか、立ち止まった時点で、時間はあるってわかってんだけどな。)

「どーすんよ?」

「小動物を使う。」

「え?凛たん?」



小動物というのは、俺達のお気に入りの後輩のこと。

瑞希がすごく可愛がっている子。

まぁ、喧嘩のきっかけになった人物だ。



「瑞希をギャフンと言わせるなら、瑞希の弱点を使えばいい。」

「それは俺も思ったけどよ~」



伊織の言い分はわかる。

現役時代は、その悪知恵でいくつもの半グレとヤクザの組・・・いやいや、他の族をつぶしてきた頭脳だ。


「わかってるなら、なぜしない?」

「凛たんにバレたら嫌われるじゃんか?」

「ストレートだな。」


〔★烈司は正直だった★〕


誰かに媚びる気はねぇが、やっぱり、良いお兄さんという立場は守りたい。

そんな俺に、ゴミを見る目で伊織は言った。



「馬鹿者。凛道にバレない方法を使え。」

「そうだけどよ~凛たんさ、瑞希のこととなると、鋭くなるじゃねぇか?」

「ば・か・も・の。そこが『盲点』だ。」


重いため息をつくと、メガネをはずす伊織。


「瑞希も凛道も、お互いのこととなると、冷静さを失う。エサさえのやり方を工夫すればいい。」

「うっわーエゲツねぇ予感しかしねぇ~な~?」

「わかってるじゃないか、LEON?」


職業名で呼ぶと、メガネをかけなおす腹黒男。


「ちょうど、暇を持て余していた。烈司、お前に瑞希をギャフンと言わせる策を与えてやろう。」

「うわぁ~頼もしい~本当にイオリンが、味方でよかったと思うぜ~」



拍手しながら言えば、無表情な男が口元だけで笑う。

それに俺も楽しい気持ちで口の端をゆるめながら、伊織の口元へと耳を近づけた。



< 36 / 100 >

この作品をシェア

pagetop