彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)
「凛たん、これ見てみー?」
「え?」
スマホを差し出して画面を見せる。
「ポチッとな~♪」
動画画面を起動させる。
『烈司~ちゃんと撮れよー?』
「あ!?これ!?」
再生された映像と液晶から響く声。
凛たんを釘付けにした。
「瑞希お兄ちゃぁぁ――――――――んっ!?」
「正解♪瑞希、14歳の夏♪」
「出会った頃の瑞希お兄ちゃんだぁ~~~!!」
目を輝かせ、身を乗り出し、スマホをガン見する凛たん。
「瑞希お兄ちゃん!瑞希お兄ちゃぁん!!」
「そうそう、瑞希だよ~・・・って、近い近い。凛たん、近いよ?」
「お前の顔でスマホが見えんではないか、凛道。離れろ。」
「あ―――!!?ご無体なっ!!」
「時代劇じゃないんだよ?」
伊織が首根っこをつかんで引き離す。
これにて足をバタバタさせながら抵抗する凛たん。
「いやぁあああ!瑞希お兄ちゃぁ―――――――ん!!」
「耳元で叫ぶな、凛道。」
「だったら、獅子島さんが僕を離してください!お兄ちゃーん!」
「おのれの声を小さくしようとは思わんのか・・・?小動物風情が・・・!」
「す、すみません!!善処します・・・!!」
「うむ、その調子だ。良いデクレッシェンドだ。」
伊織の気迫に負けて、声を小さくしていく凛たん。
〔★小動物は無力だ★〕
その様子をドヤ顔しながら見る伊織。
「前々から思ってたけど、オメーってドSだよな~イオリン?」
「ふざけるな。怒り方に強弱をつけるものがすべて、サドだとでも思ってるのか?」
「悪いな、伊織。お前のキレ方に弱(じゃく)だったことはねぇーよ。」
「・・・弱(じゃく)もあるな、凛道?」
「おっしゃる通りです・・・!」
「だから脅迫めいた同意を取るなっての!」
〔★伊織の圧力、凛は服従を選んだ★〕