彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)
「疲れさせてごめんなさい。どうか、お休みください。」
「おう・・・休むわ。」
グリグリと、凛の首元に頭を押し付ければ、「くすぐったい」と凛が笑う。
そして、悲しそうな声でささやく。
「じゃあ、お兄ちゃん・・・電気消しますから・・・申し訳ないですが、一度離れ―――――」
「リモコンあるぞ。」
ベットサイドに放置してた機械を渡す。
「あ、はい!」
途端に、嬉しそうな声になる凛。
「お兄ちゃんと離れにすんで、嬉しいだろう~ブラコン?」
「はい!」
俺のからかいに本気で返事をして・・・いるらしい弟分。
(つーか、もう弟でいいわ。)
「俺だけの・・・」
(凛だ。)
「え?何か言いましたか?」
「ああ・・・このまま泊まるか?」
「いえ・・・・仮眠という形をとらせて頂ければ―――――」
「じゃ、携帯貸せ。アラームにしてやる。」
「うん・・・。」
凛を抱く力をゆるめてから、凛のスマホをさわる。
それと同時に部屋が暗くなる。
俺が渡したリモコンで、凛が部屋の明かりを消したらしい。
(凛が仮眠を取って帰るのは、これぐらいだったか・・・?)
画面が光る携帯を凛に返しながら聞く。
「時間はあってるか?」
「うん。」
「便所は?」
「平気です。瑞希お兄ちゃんは?」
「大丈夫だな。」
凛がスマホをベッドサイドに置く。
それを見届けてから言った。
「おやすみ、凛。」
「おやすみなさい、瑞希お兄ちゃん。」
小さい身体を抱き寄せる。
抱き枕にちょうどいい大きさと柔らかさだ。
(・・・・男なのに、凛が柔らかいのは成長途中のあかしか?)
そう思いながらまどろむ。
が!!
「その前に撮影だな。」
「へ?」
自分の携帯を手に取り、素早く操作する。
「ちょ、お、お兄ちゃん??」
「つーことで、俺と凛はお休みタイム♪凛と一緒に動画を見るのもいいけど、俺みたいに凛と同じ画面に映れるように頑張れよー?」
凛の頭を俺の顔の側に引き寄せ、勝利の笑みで宣言。
録画された動画を、ゴレンジャー・ブラックとブルーに送信する。
「ははは!どんな反応か楽しみだぜ♪」
「・・・・・・・・・・・・・・瑞希お兄ちゃん・・・・・・・・・・・・」
気分の良い俺の至近距離で、凛が何とも言えない表情になっていた。
暗いから色なんてわからねぇーけど、絶対に凛が真っ赤になっているのはわかった。
なんでって?
(そりゃー兄としての勘だよ♪)
「りーんちゃ~ん、おねんねしなくていいかぁ~子守唄歌ってやろうか~」
「そ、そんな!あの、今のって!?まさか、撮って!?」
「あん?なーに、照れてんだよ?文句あっか?」
「ありません・・・・!」
「よちよち♪おやすみ~♪」
何か言いたげな凛だが、俺の言葉に口ごもる。
可愛い奴だと抱きしめながら目を閉じた。
・・・なんとなく、凛の心臓が加速している気がしたが、知らぬふりをする。
とりあえず、烈司達に仕返しは出来たと思った。