彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)



「おすすめなーに?彼氏?」

「え?」



あたしの問いかけに、照れ隠しをするように言った。




「今夜は、『カフェ・スラブ』が一番出てますよぉ♪」



可愛い声で返してくる。

声変わりしてないのか、余計にマスコットらしくて可愛いわけね。

いじり甲斐がありそう。

その前に、のどかわいてるから、ドリンクを先に頼むか。



「『カフェ・スラブ』って、なに?」



わからなかったので聞いた。

これにゆるキャラ少年は、可愛い笑顔と甘い口調で説明する。



「うん、『カフェ・スラブ』ってゆーのはコーヒーにチョコレートシロップを入れて、ホイップ、アイスクリームの順に乗せて、削ったチョコレートをかけたドリンクのことなんですよー♪」



意外と丁寧な説明。

聞き取りやすい。



(あざとさ狙って、わざと『キャラ作り』してんのかと思ったけど---『素(す)』か?)



自然素材は珍しい。



「イチゴアイスもありますってあるけど?」



メニュー表を見せながら少年に聞けば、すぐに返事が返ってきた。



「うん!普通はバニラアイスだけど、イチゴも美味しかったからお試しで選べるようにしてるんですぅ」

「へぇー意外。イチゴ、甘すぎるイメージなんだけど?」

「なので、コーヒーにあう甘さのアイスになってます♪あくまで、主役はコーヒーですからねぇ~」



ツレと話すようなやり取り。

会ったばかりだけど、マジでこいつは話しやすい。



「じゃあ、正統派バニラとオリジナル性のイチゴだと、どっちが人気なわけ?」

「両方同じぐらい出てますよぉ~ただ、堅実な人はバニラ、冒険したい人はイチゴの傾向にあります!あなたはどちらがお好きですか、お姫様?」



お姫様って。



(マジで、『あざとい』のか『天然』か難しいとこだわ。)



けど、そういうフリしてる奴は、何十人と見てきたからわかる。




(こいつ、『ガチの天然』だ。)




『どうするか』、あたしの『答え』は決まった。




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