彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)
イエスマンと媚びるやつばっかりで、つまんなかったんだよね。
(もうちょっと、話してやってもいいかも。)
名前を聞いて、やってもい―――――――!
「いい加減にしろよ、ぶりっ子!」
楽しい気分が、アダムのせいでぶち壊しになる。
「こいつ、俺の女んだぞ?」
(あたしが話そうとしてるが、わからないの?)
気づかないの?
(察しろよ・・・!!)
「それを指までジロジロ見ー」
「うるさいよ、アダム。」
イラついたので文句を言った。
「ルノア!?」
「うるさい。」
「っ・・・!」
2回言って、やっとアダムは黙った。
こいつ、顔と体は良いけど、たまに空気が読めない。
まだ元彼の方が使えたわ。
まあ、あたしの犬みたいになって、恥ずかしいから別れたんで未練ないけど。
つーか、この時点で、目の前のゆるキャラ君の方が、態度も気遣いもアダムよりハイスペック。
『優しいお姉さん』のイメージを植え付けるため、愛想笑いでゆるキャラ君に語りかけた。
「ごめんね、焼きもち妬きでー?」
馬鹿の尻拭いのために、甘い声を作る。
「ブランド物の服やかばんはわかるけど、一番安い、見た目だけ可愛い指輪を褒められたことはないわ・・・けっこう、女好き?」
からかいも込めて言えば、意外と和やかな声で返してきた。