彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)





「あははは!そんなんじゃないですよぉ~」





苦笑いだが愛想よく、明るい声でゆるキャラ君は言う。




「人の口に入るものを取りあつかってるから、つい、人の手を見ちゃうんだ♪一言多くてごめんね?でも、本当に似合ってるんだ。」





-本当に似合ってる-





「安物って言ったよね?」





オーダーメイド品、ブランド品も身に付けているのに、それを差し置いて『安物』が似合ってるって?



(あたしが安い女だって、ディスってんのか?)



高級品は似合わないって言いたいのかよ、小僧?



どす黒い思いで冷やかに問えば、無邪気にクスクスと笑いながら言った。



「え?安いって、原料の話だよねー?可愛いに、高いも安いもないよ。だから、君もその指輪をつけてるんじゃないの?」




(『可愛いに高いも安いもない』?)




その言葉がなぜか、深く胸に突き刺さった。

そういう考えもあるんだと思った。





「なんだとてめぇ!?」

「黙って、アダム。」

「ルノア!?」




同時に、そう言った理由を聞きたくなった。




「ねぇ店員さん、なんでこの指輪を褒めたわけ?ブランド物とかわからない系?」



古い大人は子供に違いはわからないというがそんなことない。

イマドキの小坊でもわかる者はわかる。

(ましてや、こんなセンスのいい服をきてるゆるキャラボーイがわからないはずが――――――――)



「うん、ブランドとか、わからないよ。」



(わからない!!?)



思っていたのと、違う答え。

馬鹿正直すぎる返事。

唖然としていれば、ニコニコしながら相手は語る。





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