彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)
「わからないけど、可愛いから可愛いといっちゃったんだ。値段も大事なのかもしれないけど、今日の服装に合うと思ったから選んだんでしょう?」
マジ?
そこには、気づくのかよ?
(アダムも誰も、気づいてないのに?)
それなのに―――――――!!
「そう思うの?」
「思ってる。」
ほぼ即答。
「君の指のネイル、全部の爪のデザインが違うけど、その指輪と『一番合ってるデザイン』が小指だと僕は思う。好きなんだね、そういうの?」
(初めて会うのに、そこまでわかるのか?)
毎日顔会わせてる彼氏や取り巻き達が気づかないことを、会って数分のこいつは気づいた。
(あたしがどれだけネイルに命をかけているか、一発で見抜いたのかよ・・・!?)
〔★真実は、読者だけが知ってる★〕
「ホント、上手に出来てて、可愛いねぇ小指のデザインと一番似合ってるよ。」
その言葉で我に返る。
ニコニコしながら、語りかけてくる男に対して恥ずかしくなる。
(ペース乱されそ――――――――・・・!)
気をまぎらわせるために言った。
「注文していい?」
「え?」
「オーダー。」
「あ、はい!もちろんです・・・!」
すっかりこいつのペースにのせられた。
あたしが輪の中心にいなければいけないのに。
いつもなら許せない。
主導権を奪うのが男であっても関係ない。
菅原がいい例だ。
あたしは客でこいつは店員。
客の方が強いのだから――――――!!