彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)
「卑怯なんだよ!りんどーのそういうところが!!」
「おい、悠斗!」
「なんだと?」
制止を込めてあたしが悠斗の名前を呼んだのと、可児が面倒くさい顔になったのは同時だった。
「長谷部、聞き捨てならねぇーぞ?凛さんのどこが卑怯だ?男の中の男だぞ?」
「フィルターかかりすぎなんだよ、可児!半分はナンパ野郎じゃねぇか!?」
「あん?高千穂がからむとネジ飛ぶのは、テメーだろう、長谷部?」
「ああん?カンナ関係ねぇだろう?真田先輩の弟なら、もっと兄を見習えってんだよ!あっちこっちの女に手ぇ出して−!」
「それ以上はやめろ、悠斗。」
「大河!?」
めずらしく大河が止めた。
凛のことなんて、いつもは聞き流す奴が、どういう風の吹き回しだよ?
「瑞希先輩と比べるなんざ、先輩に失礼だろう!?」
「そういう意味かよ!?」
凛じゃなくて、真田先輩!?
「真田先輩の名前が出たから、口出ししたのかよ!?」
〔★ブレない瑞希信仰だ★〕
あたしのツッコミに大河は真顔で返す。
「凛道蓮と真田瑞希さんなら、断然、瑞希先輩が『格上の神様』だろうが!!?」
バキッ!!
「はあ?なにそれ?」
「うは!?DSがっ!!」
すごい音と、ドスの聞いた声と、関西人の叫び声が響く。
「リンリンが真田瑞希より格下ぁ−?美人の初代にフラれっぱなしの代行風情が、なにハシャいじゃってくれてんの?」
「ああ!!?あ、あかん!あかんよ、ながちゃん!!」
すごい音の正体は、ゲーム機を握りつぶした音。
壊したのは、ゲーム機の持ち主であり、元・全国ナンバーワンの半グレの頭だった時の顔の幡随院長政。
JAGUAR時代のツラと口調と雰囲気でブチギレていた。
〔★ロクでもない時がきた★〕