彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)



「マジキュートだよねぇ店員ちゃん?」

「チョコちゃんだって見た目も名前も可愛いー♪」

「難波っち、鳥海っち、好みなの?」

「えーあんたも、好きなタイプでしょー?」

「じゃ、エントリーしてもいいってこと?」

「私も立候補しようかなぁチョコちゃんに?」





あたしの右腕と左腕がチョコに近づく。

それに便乗して、他の女子共もやってくる。

ジロジロと、にやけた顔でゆるキャラを見る。

好意丸見え、丸わかりで、一緒にいるあたしが恥ずかしい。



(あたしに恥かかせんなよ・・・!)



ムカついたけど、逆に気づく。



(この中坊に引き寄せられてる・・・?)



集まってくる女子達の中心にいる少年から、なにか光るものを感じた。

狙ってる奴はわかるけど、タイプじゃないはずの奴も、興味を示している。



(なにこれ?)



男であっても、あたしを差し置いて、人の輪の中心にいる奴は許さない。

だけど、この中坊は―――――――――――・・・





(ゆるキャラっぽいせいか、ムカつかない・・・)





なんだろう、こいつ。





(気になる・・・)





「チョコ、出来たぞ!」



店主の声で、我に返る。



「冷たい出来立て、早くお渡ししろ。」

「あ、はい!そうでした!」



その指示に反応して、ドリンクを手に取る。

それで、受け取る側の右腕と左腕が女の顔になる。

嬉しそうな、期待と媚びが混じったメスの笑顔。

それが気に入らなかったから―――――――



「お待たせしました『カフェ・スラブ』のバニラ2つを、ご注文のお嬢さ」

「さやかとめぐみとの分ね?ありがとう。」



ヒョイ、サッサッ!



「「「あ。」」」





ゆるキャラが商品を手渡すのを邪魔した。





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