彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)
「お待たせしー」
「はい、渡辺。」
「出来上がりました、イケメンの」
「ほら、伊藤。」
「カフェオレをご注文の」
「未央とエン助だよね?ありがと。」
「・・・。」
「次は?」
動きいいわ、こいつ。はじめて組んで、ここまで息ぴったりの連係プレーは久しぶり。
あたしが手を出す度に、戸惑いながらも会釈するところが、気が利いていて良い。
逆に、人相の悪くなっていくアダムに3%ぐらい冷めた。
捨てても良いけど、これよりハイスペックが、今のところいないからな――――――
(・・・!!)
嫉妬深いのもウザくなる。
そう思っていたら、控えめな声があたしにかけられた。
「あの、僕が渡しますので、お姫様は何もしな」
「しないより、一緒にした方が早いでしょう?」
「ですが」
「なに?お客様は神様でしょう?言うこと聞かなくちゃ?」
特別扱いで、笑顔を作って良い客ぶる。
そんなあたしに、マスクの下からなごやかな声で少年が告げる。
「じゃ、じゃあ優しいお姫様に甘えちゃおうかなぁ?」
「そうこなくっちゃ。」
「ではお客様の中で、ご注文がまだの方いらっしゃいますかぁ?」
「向井、佐田、まだだろう?さっとんも、早くしてよ。グズなんだから!」
「くっ・・・わ、悪い、ルノア。俺、コーラの入ってるコーク・ブラックのLで・・・」
「お、俺も!同じものを・・・」
「じゃあ、俺は『コーヒー・ジンジャー』に・・・」
「早く言えよ、馬鹿共。」
「「「ご、ごめん、フッチー・・・・!」」」
あたしの言葉で、ゆるキャラをいまいましそうに見ながら注文するデブ共。
デブはトロイってマジだわ。
ゆるキャラ困らせんじゃねぇよ!
勝手に険悪なムードを作る男達。
それを無視しているらしい、夜店の店主が、作り直しの分も含めてすぐに仕上げた。
やるじゃん?