彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)
「お待たせですぅ!時間かかってごめんなさい!」
「気にしなくていいよ。デブ共はいいけど、中山は途中で注文変えたしほら、カプチーノだぞ、中山!」
「ど、どうぞ、若旦那♪」
遠慮気味な謙虚な態度と明るい笑顔で、お調子者の中山に商品を差し出すゆるキャラ。
中山の分際で、中坊をギロッとニラんだところが気に入らなかったから、パシリに格下げを検討する。
それでも、看板息子らしい、時々見せる小動物みたいな仕草で気持ちがなごむ。
あたしが手伝ってやったから、全員へのドリンクを渡しもスムーズに終わった。
だから、礼の1つも言うべきだと思って聞いた。
「早かったでしょ?一緒に配ったから。」
「あ、はい。ありがとうございました♪」
即答はもちろんだが、素直にお礼を言う姿がますます気に入った。
「えーと、お会計してもいいですか?」
「だめ。」
「えっ!?」
「きゃはは!嘘だよ」
目を丸くする姿が可愛い。
(マジで、初めて会う人種!)
「食い逃げるするとでも思った?ちゃんと払うからさ♪」
からかえば、丸い目を元に戻して、ニコッと笑いかけてきた。
「それを言うなら、飲み逃げですよぉ?」
そこまではよかったが。
「本当に・・・君が全部負担していいの?」
そう言ってくる態度に、カチンときた。
何聞いてたの、こいつ?
(あたしは、払うと言った。同じことを、何度も聞く気?)
気持ちが冷めるのを感じながら言った。
「金がないとでも、思ってんの?」
そんなあたしの声を聞いて、取り巻きの男達がゆるキャラを攻撃した。