彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)



「あーん、るのあ、ご馳走様」

「チョー感謝っす、るのあ様!」

「恩に着まーす!」

「めっちゃ美味しいね、これ!」



聞こえていれば、こんな言葉をかけない。



(特にアダムは――――――――)



不機嫌そうにドリンクを飲んでるだけで、あたしをいじめられっ子だと勘違いしたチョコに対して、なんのアクションも起こさない。



それどころか――――――――



「あーあ、カフェオレは美味いけど、人間が最悪だったぜ。」

「最後まで、あざとかったよな、あのガキ?」

「なにが、『ありがとうございました♪』だよ。」

「ケッ!さっさと行こうぜ。」




文句を垂れ流すだけ。





(あ――――――・・・マジで、使えない奴ばっかり・・・!!)





彼氏であるアダムが、まだチョコにメンチを切っていることにも呆れた。

自分の男を見る目を疑いたくる。

だけど、連れて歩く分には最高級の品質。




それに―――――




(あたしの『目利き』が、にぶったわけじゃない。)




アダムはあたしを飾るのに完璧な男。

そして、今夜見つけた目の前にいれゆるキャラ君は――――――





ガシッ!!



「へ?」

「ねぇ、一緒に遊ぼう。」





(間違いなく、あたしを楽しませてくれる最高の男・・・!!)



そのニオイがしたから、逃がすわけにはいかない。




「あそ・・・?え!?」

「仕事、9時まででしょう?」

「な!?」





驚いた顔も可愛い。

楽しくてたまらない。







(『チョコ』といれば、あたしの刺激はみたされる。)







直感が、本能が、そう教えてくれた。




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