彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)
「チョコとそっちのお兄さん、兄弟?」
「・・・は?あ、僕?僕のお兄ちゃんです。」
「お、おい!?」
兄だという相手の腕にしがみつきながら言う姿。
「・・・・なに笑顔で、俺のこと、紹介してくれてるんだよ?」
「えへへへ!だって♪」
兄の言葉通り、笑顔で言うから毒気が抜かれた。
「行こう。」
アダムが何か言ったかもしれないけど関係ない。
「ルノア?」
「粘ってもムダだから、行くんだよ。」
未練はあったけど、あたしらが不利だったのでその場は引いた。
去り際に見たチョコは、あたしを追い返す奴と楽しそうにしてた。
かなりブラコンが入ってるんじゃないかと思ったら、なぜかムカついた。
同時に、気分が高揚した。
「久しぶりだわ。」
こんな気持ち・・・。
「ルノア?」
生意気なブラコン兄貴の弟を、私が奪ったらどんな顔をするか。
「あの店が気になるのか?」
「そうね。」
アダムの問いに本音を言えば、彼氏の顔がゆがんだ。
「スカイハイが絡んでるんだぞ?身バレもしてる。関わると面倒だぞ?」
「だからなに?」
「ルノア!?」
「相手は社会的地位は底辺の走り屋。私は渕上財閥の令嬢、そうでしょ?」
「そうだが・・・つまり、令嬢の肩書きでコーヒー屋台を潰すのかっ!?」
「誰がそんなこと言った?」
嬉しそうに聞くアダムを見ながらストローに口づける。
(・・・ほろ苦くて甘い。)
『チョコちゃん』のお勧め通り美味しかった。
それであたしは満足してるのに、あたしの男はうるさかった。