彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)




「・・・あの子は、指輪にあわせてネイルしたと予測したわ。」

「俺のブレスレットに合わせたんだろう!?」



アダムの言葉に笑みが浮かぶ。


お前がよこしたブレスレットに、あたしが合わせただって?



「そうだろう!?ルノア、そうだろう!!?」



必死になるアダムに、笑いそうになる顔を我慢できない。

うつむけば、首を縦に振ったんだと勘違いする。



「そうなんだな!!?」

「愛してるわ、アダム。」




質問をシカトして、愛の言葉をささやく。

口づければ、乱暴だけど上手なキスを返してきた。

言われてみれば、アダムからのブレスレットとも良い組み合わせになるわね。

全体のバランスを考えてコーディネートしたから当然よ。

身に付けてるもので品格がわかる。

そう教えられてきた。

だから気に入っていても、安物を身に付けられるのは今だけ。




-小指につけてるハートの指輪、すごく似合ってます-




お世辞だとわかっていても、心に引っかかった。

つれて歩くのはアダムだけど、頭の良さじゃ、あの子の方が使える。

歯の浮くようなセリフは誰でも言えるけど、気遣いはチョコの方が出来てる。

あんな年下に負けてるアダムって、正直ダサい。

だけど、見た目はあたしと釣り合うから、付き合ってあげてる。

あのゆるキャラが、もう少し背が高かったらよかったんだけど~




(中身はチョコ坊やの方がお高いわ。)




そう思ったら、無理にでも連れ出さなかったことを惜しんだ。

屋台のバイトと令嬢の私がかかわる接点はない。

それでも鮮やかによみがえる、チョコいう名の男のことが。





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