彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)
口元を隠し、特服をなびかせて走る姿。
走っている集団の中心にいるのでよく見えなかったけど、凛道蓮だ。
がたいのいいデカい奴らに囲まれて小さいけど、器は大きい凛道蓮。
バウン、バウ――――――――ン!!
目の前を走り抜け照った後、なんともいえない興奮を覚える。
「すごかったね、ルノア!かっこいいわ、凛道さん!」
「フッチー、凛道さんヤバいよね!ギャップ萌え~」
「・・・・・・・・その通りね。」
龍星軍が走り去るのを見送りながら、私の右腕と左腕に同意する。
「バカ女ども!ルノアに余計なこと言うな!ルノアが気にかける相手じゃねぇーだろう!?」
「・・・そうね、アダム。」
アダムの言う通りだ。
コーヒー屋台のチョコ君と大財閥令嬢の女子高生の私では立場が違う。
身分が違いすぎるけど――――――――――
「夜店に行けば、会えるのよね?」
「え!?」
龍星軍4代目総長の凛道蓮とかぐや姫総長の私なら関わりができてもおかしくない
ゆるキャラ君に、チョコ君に、凛道蓮に。
「会いに行くよ。」
最高で極上のオトコに会いに行く。
「どういう意味だ、ルノア!?彼氏である俺の前で、お前――――――!?」
「ばかねぇ。利用できるなら、利用したいのよ。」
あたしの言葉に誰も逆らわない。
不満そうなアダムを無視して空を見る。
この夜空を凛道蓮も見ているのだろうか?
(会いに行こう。)
龍星軍四代目総長凛道蓮と、輝夜姫総長の渕上ルノアなら釣り合いが取れるわよね?
遠くから響く、直管コールを聞きながら、久々に胸が高鳴った。