今すぐ好きを。
私が男性恐怖症になった理由。

それは……言えません。



けれど、いずれ言うかもしれません。


「千尋、帰ろう」

「うん」




久し振りの男の子との会話で、いや、半分一方的だけど、足がすくんだ。

手は震えが止まらなかった。



けど、悠ちゃんが手を握ってくれた。


悠ちゃんの体温が手から伝わってきて、怖さも震えも吹っ飛んだ。



「それにしてもさぁ」


「?」


帰り道、悠ちゃんが話し始めた。


「さっきの男の子、自分の名前言った?」

「あ、ううん、言ってない」

「だよね~!人の聞いてあだ名付けて、自分の言わないってどういうこと!?って思った」
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