お前の唇、奪っていい?
舞の過去
撮影の帰り道、私たちはまたあのコンビニに寄っていた。
「今日おばさんは?」
「あぁ、また海外行っちゃったよ。次帰ってくるのは1ヶ月後、だったかなぁ」
「そーか。今日は俺ん家で飯食うか?」
「う、ん...そうだね、そうする、ありがとう」
私のお母さんは、世界を飛び回るカメラマン
だから1年の半分しか日本にいなくて、もう半分は色々な国に行っている
だからたまに、祐誠の家でご飯をご馳走してもらったり、
祐誠の妹の桃寧(ももね)ちゃんと一緒に寝たり...お世話になりっぱなしなの
「母さん達に伝えとく、泊まる?」
「うーん...今日は大丈夫」
レジに行くと、またあの女の店員さん
「今日もおふたりなんですね」
「はい、まぁ...」
店員さんが、一瞬寂しそうな顔をしたのを私は見逃さなかった
やっぱりそうだ、この人、祐誠の事が好きなんだ
「あの、祐誠くん、今度私とご飯どうですか」
「「え」」