お前の唇、奪っていい?


ーー七年前


「お父さん...?」




その日、俺と舞と、舞のお父さんはデパートに出かけていた




そして、事件は起こった




「きゃぁぁっ!!!」




生々しい女の人の悲鳴

赤く染まるコンクリート

全身真っ黒な格好をした男の人




それは紛れもなく、通り魔だった




「こっちへくる!舞、祐誠くん、こっちにおいで!!」


「お父さんっ」


「舞ちゃん、急いで!」




俺が舞の手を掴んで、逃げようとした時、舞の後ろに通り魔が迫っていた




奇声を上げながらぶんぶんと包丁を振り回し、通行人を刺していく




そして.....




「うわぁー!!!」


「え...」


「舞!!危ない!」


「舞ちゃん!!」






「お父さん...?」



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