お前の唇、奪っていい?


「啓(けい)くん...何でここに...」


「実は僕、おじさんが亡くなってから、毎年この日にお墓参りに来てるんだ。
舞ちゃんと祐誠には言ってなかったけどね。
あ、あと今日からまた日本に住むことになったから、これからまたよろしくね、舞ちゃん」




そう言って、ふわりと笑う彼は、私と祐誠の、もう1人の幼馴染


名前は飯塚 啓人(いいづか けいと)


私は啓くんって呼んでるんだけどね




啓くんはお父さんが亡くなった2年後に、啓くんのお父さんがアメリカに転勤になった


それに啓くんも付いて行って、こうして顔を合わせるのは5年振りくらい




「あれ、祐誠は?」


「あー...毎年一緒に来てたんだけど、今日は仕事忙しいらしくて...今年は私ひとりなんだ」


「はぁー?あいつ、こんな日でさえ仕事入れてるの?今日くらいは空けてくれてもいいのにね」





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