お前の唇、奪っていい?
次の日学校に行くと、私のクラス前の廊下に大勢の人だかりが出来ていた
「千紗、田口くん、おはよ。何があったの、これ」
「あ、舞!ねぇ大変なの!」
「ニュース見ただろ?祐誠と特進部の奥村さんって人が付き合ってるってやつ。
で、今2人があそこで話してるってわけ」
「あぁ...なるほど」
人だかりの隙間からなんとかふたりの姿を確認する
絵になるなぁ...
じわ、と目の端に涙が溜まる
昨日から、なんでこんなに悲しくなるんだろう
「あっ!おはよう舞ちゃん!」
「え、あ、うん、おはよう奥村さん」
大きく手を振りながら、祐誠と手を繋いだ奥村さんが私に近付いてくる
あぁなんか、イライラする...
「昨日はごめんねっ、祐誠と予定あったみたいだね」
「大丈夫だよ。それじゃ」
「舞ちゃん?」
私は精一杯笑顔を保ちながら、教室に逃げるように入っていった
もうやだ、私嫌な人だ
呼び方が祐誠くんから祐誠になってるのも、さっきからずっと祐誠と手を繋いでいるのも、
見ていてすっごくイライラする
「じゃあ祐誠、あたしそろそろ教室戻るね、ばいばい!また放課後に」
「あぁ」
奥村さんがその場からいなくなった瞬間、千紗と田口くんが祐誠の元に駆け寄った
「ちょっと祐誠くん...付き合ってるなら言ってくれても良かったじゃん」
「...俺の勝手だろ」
「お前...何か隠して...」
「.......永島、幸太、今日俺の家に来てくれねぇか?話がある」