お前の唇、奪っていい?


「なぁ啓人」


「なに?祐誠」


「後で話がある」


「...あぁ、いいよ」




え、ちょ、なに!?


結局会話はそれだけで、祐誠はすぐに教室に戻ってしまった


久しぶりに会ったのに、反応冷たすぎない...?




なんか今日の祐誠、いつもよりピリピリしてる


さっきも私が話しかけたのに無視したし...


祐誠の後を追って私も教室に入ると、いきなり祐誠が振り返ってきた




「おい舞」


「な、なに...」


「もう俺に近づくな」


「...え?」




なに、それ...意味わかんないんですけど...


気づいた時には、私は祐誠の制服の袖を掴んでいた


いきなり何よ、近づくなって、何様なの?




「今日の祐誠変だよ?言いたいことあるならはっきり言ってよ」


「じゃあ言わせてもらうけど。迷惑なわけ、お前が俺の隣にいると。
おくむ.....菜々子の気持ちも考えてくれねぇ?昨日の墓参りだってわざと行かなかったし。お前と一緒にいると疲れるんだよ」


「ちょ、祐誠くん、何言って「永島は黙ってろ」




私は、何も言えなかった


まさか、祐誠がそんな事思ってたなんて


私に優しくしてくれたりしたのは、あれは何だったの?




「...ごめん、ね.......私、今日は帰る...」


「ちょ、舞!!待って!!」


「ごめん千紗、付いてこないで...」


「っ...」




カバンを持ち、私は逃げるように教室を出ていった


涙が、溢れてきた


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