お前の唇、奪っていい?
その頃、教室ではーー
「祐誠くん、説明して」
「まじでお前どうしちゃったんだよ。お前の好きな奴は奥村さんって人じゃねぇだろ」
「お前らには話しておく。だけど絶対に、舞には言わないって約束してくれねーか」
祐誠は辛そうに歯を食いしばり、下を向いた
ふたりは普段とは違う祐誠の雰囲気に首をかしげながらも、分かった、と素直に頷く
「実は、俺はーー」
「「え.....」」
祐誠が話した事実は、予想もしないものだった
そしてこの日をきっかけに、私と祐誠の間には、大きな大きな、壁が出来た
お互い会話もなく、目も合わせず、一緒にお昼ご飯を食べることもなくなった
祐誠の人気は上がる一方で、学校に来る日も少なくなっていった
あの日から私は祐誠と関わらなくなったけど、変わらず祐誠が出ている雑誌は買っている
それしか、祐誠の事を知れる手段がないから...
そして私達は3年生になった
変わったことといえば、クラス替えで祐誠と田口くんと別のクラスになったこと
その代わり、千紗と啓くんが私と同じクラスになった
一番大きな変化はーー
「舞、一緒に帰ろ」
「うん、啓くん」
私と啓くんが、付き合うことになった