お前の唇、奪っていい?
「あ」
「よ、どーしたのこんな時間に」
「お母さんにお使い頼まれちゃって。仕事おつかれ」
「ん」
家のドアを開けると、ちょうど祐誠が帰ってきたところだった
撮影後だからか、髪の毛もセットされてて、いつもより少しかっこいい
この人、顔だけはいいからね
「俺も行くわ、新作発売されてたよな」
「あ、私もそれ買おうと思ってたの」
「後で午後の授業のノート見せろ」
「はいはい分かりました」
横を歩く祐誠を横目で見る
すらっと伸びた背に、小さい顔
男のくせに長く伸びたまつ毛に、左目の下にあるホクロ
茶色に染められた髪の毛は、ワックスで整えられている
やっぱり、人気モデルってだけはあるよね
「あ?何見てんだよ?」
「べっつにぃ」
全く、不覚にもドキドキしちゃったじゃんか