お前の唇、奪っていい?
「はぁ、はぁっ...」
とめどなく溢れる涙を拭いながら、広い廊下を走り抜ける
もうやだ、何もかも
私は祐誠が何か言う前にあの場から逃げた
祐誠はきっと、また俺に近づくなとか、言うと思って怖くなったから
祐誠は、変わった
今のあいつは、私のよく知る幼馴染の祐誠じゃなくて、
モデルとしての竹下 祐誠だった
生きてる世界が違うとか、そんなの言うやつじゃなかったのに
「舞ちゃん!!待って!」
「っ...桃寧ちゃん.....」
私の後ろから桃寧ちゃんの声が響き、思わず足を止める
気付けば私は屋上へと続く階段に登っていた
「お願い舞ちゃん、お兄ちゃんを嫌いにならないで...!
お兄ちゃん、きっと嘘ついてるだけだから。何か事情があってあんな酷いこと言ったんだと思うの」
「でも...そんなの分からないよ...本音かもしれない。私、嫌われてるんだよ、祐誠は私の存在が邪魔なの...」
「...実はね、あたし見たの。
去年、舞ちゃんがあたしの家のソファで寝てる時、お兄ちゃん...舞ちゃんにキスしてたの」
...え.....?