お前の唇、奪っていい?

祐誠side


夕飯を食べ終えてスマホをいじっていると、夕飯の片付けを終えた母さんが心配そうに俺に近づいてきた




「ねぇ、祐誠」


「何?」


「舞ちゃんと、本当にもう会わないつもり?」




静かに、そう尋ねる


俺は、何も言わなかった




あいつの話は、もう、したくない




「桃寧に聞いた。今舞ちゃん、啓人くんとお付き合いしてるんでしょ?あなた、それでいいの?」


「母さんには関係のないことだろ。これは、俺と啓人とあいつの問題だから」


「だけど、"あのこと"についてはお母さんも関係あることよ。
...もう、全部話しちゃだめなの?きっと舞ちゃんなら、分かってくれるわよ」




そう言い、母さんはリビングから出ていった


俺だって、話せるもんなら話したい


だけど、もう手遅れなんだよ




あの時、すぐに本当のことをあいつに言えば、こんな関係にならなくて済んだ




"「舞って、呼んでよ...」"




「舞.......」




スマホの画面を閉じようとした時、よく知る奴から電話がかかってきた




「はい。.......分かった」




< 68 / 81 >

この作品をシェア

pagetop