【短編】クール上司の甘い罠
冷徹上司を呼び出して
夜8時。
静まり返るオフィス、だれもいない会議室。
でもガラス張りだから通路からは見えてしまう。
「こんなところに呼び出して何の用だ? プレゼンの資料なら既にOKしただろう?」
目の前にいるのは私の上司。長身の桐生部長は黒縁眼鏡をくいと上げて私を見下ろす。二重まぶたの鋭い眼差しに私の背筋がぴりりとした。
仕事の鬼。最年少役員と噂される35歳。
オフィスにいれば無駄口も許されない。
お見合いすらも仕事の道具……専務のお嬢さんと縁談があるって言っていたから。
恋愛なんてくだらない……そう、言いそうだ。
だから、誘いたい。
少しでいい、恋愛を意識して欲しい。私を対象としてみてほしい。
まずは、そこから。
「桐生部長、受け取ってください」
私は小さな包みを差し出した。
軽く聞こえる彼の舌打ち。怖いけれど彼の顔を見つめた。
静まり返るオフィス、だれもいない会議室。
でもガラス張りだから通路からは見えてしまう。
「こんなところに呼び出して何の用だ? プレゼンの資料なら既にOKしただろう?」
目の前にいるのは私の上司。長身の桐生部長は黒縁眼鏡をくいと上げて私を見下ろす。二重まぶたの鋭い眼差しに私の背筋がぴりりとした。
仕事の鬼。最年少役員と噂される35歳。
オフィスにいれば無駄口も許されない。
お見合いすらも仕事の道具……専務のお嬢さんと縁談があるって言っていたから。
恋愛なんてくだらない……そう、言いそうだ。
だから、誘いたい。
少しでいい、恋愛を意識して欲しい。私を対象としてみてほしい。
まずは、そこから。
「桐生部長、受け取ってください」
私は小さな包みを差し出した。
軽く聞こえる彼の舌打ち。怖いけれど彼の顔を見つめた。
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