『ドルチェ♬』
『もしかして忘れてきた?』
なかなかサブバの前から戻ってこなかった私を心配して来てくれた奏汰は、
責めるでもなく穏やかな声でたずねてくれる。
けど、それがむしろ私の気を使わせてしまったという罪悪感を膨らませてしまう。
何も言葉に出来なくなった私の様子からチューナーを忘れてきたということを悟ったのか、奏汰は私の肩からベースを取ると弦を鳴らす。
少しズレた低い変な音が部室内に小さく響く…
その様子を不思議そうに眺める私の視線を気にすることもせず、その場で奏汰はあぐらをかくとチューナー無しで耳だけでペグを巻きチューニングを始めた。
何度かペグを巻き、弦を鳴らし、また巻き、鳴らし…、少し緩めまた鳴らし…
を何度か繰り返してものの数十秒でベースから発せられる音は元の高い綺麗な音に戻り部室の中にリンとした音が響き渡った。
その様子を、部室のソファーから見ていたのか裕翔が、
『えっ?!なになに、奏汰って絶対音感とか持ってんの?!』
とソファーから立ち上がり出し奏汰へと声を上げた。
『そうなの?奏汰…』
里華ちゃんも作曲用の譜面だけの楽譜を手に奏汰へと驚きの目を向けた。
そんな、二人に目も合わせずに私にへとベースを返す奏汰にお礼を述べた私は奏汰の少し作ったような張り付いたいつもと違う笑顔に気づき嫌な方で胸が
ドクン…
と音を立てたのを感じた。
『さぁ、あと1回合わせて解散しよっか。』
何も無かったかのような声を出し立ち上がった奏汰の何かを隠すような姿に気づいたのは他の二人も一緒で、誰もがそれ以上奏汰へとその質問をし直すことはなかった…。
なかなかサブバの前から戻ってこなかった私を心配して来てくれた奏汰は、
責めるでもなく穏やかな声でたずねてくれる。
けど、それがむしろ私の気を使わせてしまったという罪悪感を膨らませてしまう。
何も言葉に出来なくなった私の様子からチューナーを忘れてきたということを悟ったのか、奏汰は私の肩からベースを取ると弦を鳴らす。
少しズレた低い変な音が部室内に小さく響く…
その様子を不思議そうに眺める私の視線を気にすることもせず、その場で奏汰はあぐらをかくとチューナー無しで耳だけでペグを巻きチューニングを始めた。
何度かペグを巻き、弦を鳴らし、また巻き、鳴らし…、少し緩めまた鳴らし…
を何度か繰り返してものの数十秒でベースから発せられる音は元の高い綺麗な音に戻り部室の中にリンとした音が響き渡った。
その様子を、部室のソファーから見ていたのか裕翔が、
『えっ?!なになに、奏汰って絶対音感とか持ってんの?!』
とソファーから立ち上がり出し奏汰へと声を上げた。
『そうなの?奏汰…』
里華ちゃんも作曲用の譜面だけの楽譜を手に奏汰へと驚きの目を向けた。
そんな、二人に目も合わせずに私にへとベースを返す奏汰にお礼を述べた私は奏汰の少し作ったような張り付いたいつもと違う笑顔に気づき嫌な方で胸が
ドクン…
と音を立てたのを感じた。
『さぁ、あと1回合わせて解散しよっか。』
何も無かったかのような声を出し立ち上がった奏汰の何かを隠すような姿に気づいたのは他の二人も一緒で、誰もがそれ以上奏汰へとその質問をし直すことはなかった…。