私の愛しいポリアンナ
酒でも入ってるのかと疑うほど、秋の頭は回っていなかった。
今日の夕方、エナジードリンクを飲んだからそれのせいかもしれない。
みのりはわかったような分かってないような顔をしている。
ここはしっかりわかって欲しい場面なのだが。
秋はお節介にも、友人でもない、付き合ってるわけでもない目の前の女性のことを「心配」しているのだ。
「もう、酔っ払いの男には声をかけるな。あと、病気の男にも、クスリやってそうな男にも関わるな」
「は?」
「職場にいい男はいないのか?」
「いえ、女性が9割の職場ですけど、じゃなくて、なんでそうなるんですか!?」
「あんたは俺がいくら言っても最終的にはダメ男にひっかかる。だからその前に生涯の伴侶を見つけろ」
「本当に余計なお世話です!大丈夫です!わかりました!わかりました!」
婚活!始めますから!そこで年収1000万のしっかりしてるイケメン捕まえますから!
やけくそのみのりの言葉。
「馬鹿か。年収1000万の男があんたを視界に入れるわけないだろ」
「喧嘩売ってますよね!?」
「年収は400万くらいで、顔はどんなでもいい、ただ、靴の手入れはしっかりしてる男を捕まえろ」
「靴の手入れがそんなに重要ですか」
「靴の手入れがしっかりしてるやつはその他のことも大体できる」
「体感ですか?」
「持論だ」
なぜ自分がここまで芹沢みのりの将来について考えているのか。
いっそ自分が見合いのセッティングでもしてやるか、とまで考えているから始末に負えない。
なぜここまで気にかけてやるのか。
わからない。
わからないが、秋はみのりを放っておけなかったのだ。
彼女の人生だ。
彼女の好きに生きたらいいと思うのに、破滅の道を何とか回避させてやりたいのだ。