私の愛しいポリアンナ




「あの子、お前とどういう関係なの?」

大学時代の友達とか?と後日、みのりの見合い相手に聞かれた。
本人のプライバシーのために仮の名前として彼はタローとする。
秋はタローにうろんな目を向けながら返した。

「バカ言え。舟萩大にあんな女がいるわけないだろ」

「そう?普通にいい子じゃん」

「あれがいい子に見えるならお前はまだまだだな」

そんな1時間かそこら話しただけでその人のことが理解できるわけないだろ、とタローは笑う。
タローでもそうなのか、と秋は枝豆を食べながら思った。
彼であれば、みのりのちょっと奇抜な趣味嗜好も受け入れてくれそうだと思っての人選だったのだが。
期待しすぎたかもしれない。

「ちょっとぼんやりしてるから、簡単に騙されそうだけど」

タローがぼそりと呟いた。
秋はその言葉を聞き逃さなかった。
そう、そうなんだよ。
あの芹沢みのりっていう女は、ダメな男に自ら捕まりに行って、そのままいいように使われて、それでも幸せとか言っちゃう女なんだよ。
そう言い切ってから、秋はビールを飲み干した。
タローは「そうなんだ」なんて言いながら面白そうな顔をした。

「なんでそこまで知ってるんだ?」

「一緒に鹿川に行って、いろいろあったんだよ」

秋はもうその場の勢いで話してしまった。
鹿川の案内をしてもらったこと。
みのりの片思いの相手のタツヤのこと。
タツヤを失ってからのみのりのこと。

タローはそれをいかにも楽しそうに聞いていた。




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