私の愛しいポリアンナ

みのりと一緒に暮らし始めて、いつの間にか10日も過ぎていた。
日が経つのは早いものだ。
早くみのりの相手を見つけなければ、と思うが未だに丁度いい相手は見つからない。
また、秋には仕事もあるのでずっとみのりの相手探しをしているわけにもいかない。
ふかふかのソファに座り、秋はノートパソコンとにらめっこ中。
隣ではぼんやりと呑気にアジのシソ巻きを食べているみのり。
なんで俺があんたの相手探しをしなきゃなんないんだ、とイラッとすることも多々ある。
しかしみのりに相手探しを任せたら、ダメ男を連れてくるのが目に見えているのだ。
彼女には任せられない。

「設楽さんそれ、株投資ってやつですか?」

見ていた番組に飽きたのか、みのりが話しかけてきた。
「あぁ」と答えながらも、秋の目はパソコンに釘付けだ。
今でこそ秋は株投資で数千万の利益を出せているが、過去に何度も痛い目を見ている。
油断は禁物だ。
運用資金の半分を失う悪夢はもう見たくない。
秋の真剣な様子を、みのりが興味津々に見つめているのを肌で感じる。

「運用の仕方とか、誰かから教わったんですか?」

「あぁ。大学で株投資のサークルがあってな。そこで色々教えてもらえた」

答えながら、秋の思考は当時に返っていく。
これはもう集中できないな、と思い指値の設定を確認し、一区切りとした。

「私、株なんて優待目当て意外で買ったことないんです」

イオンの持ってますよ私、とどうでもいい情報をくれる。
「あぁそう」と秋は返す。
投資に興味のない人が株に手を出す理由なんてそれくらいだろうな、と思う。

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