私の愛しいポリアンナ
「私の大学時代の教授に、すっごく落ち着いていて、なんていうか、もう人生何回もやってますって感じの教授がいたんです」
「ほぉ」
「で、その教授に『人生楽しいですか?』って聞いたんですよ。なんて返ってきたと思います?」
「『君は失礼な生徒だな』」
ものすごく興味なさそうな隣の彼。
それでもみのりは話し続けた。
「いえ。教授は『その質問は恐ろしいなぁ』って笑ったんですよ」
「へぇ」
「絶対、人生二回目ですよ、あの教授」
「いや何で」
「だって、普通そんな質問されたら怒りますよ。なのに恐ろしいなぁって、上級者の答えでしょう」
「何の上級者だ」
「人生の」
信じられないものを見るような目で見られた。
そして、やってられないとばかりに彼は酒を飲み干す。
「頭がおかしくなりそう、君と話してると」
「あぁ、私『生きるマリファナ』って呼ばれてますから」
「クソつまんないよ、それ」
彼は二杯目にウイスキーのロックを頼んだ。
私もそろそろカシオレを飲み干して次を頼もうかな。