私の愛しいポリアンナ
今までの秋の恋愛遍歴は「あ、いいな」という見た目の好印象から始まるものだった。
ツンとした美人顔が好みだし、ふくらはぎのほっそりした子に惹かれるし、胸は大きい方がいい。
「男は女の顔と胸しか見てない」なんて言われるが、秋はほぼその通りだった。
だって、とんでもなく性格が悪い女の子なんて自分の周りにはいなかったし、顔や身体が好みであれば大抵のワガママは許せてしまったのだ。
さらに性格もサバサバしていれば申し分ないが。
それに当てはめれば、芹沢みのりの外見は秋の好みからは大きく外れていた。というか、興味の対象外だった。
顔も印象に残らないくらいののっぺりした感じだし、身体も寸胴気味。
タツヤの件がなければ声をかけようという気にもならなかったタイプだ。それは今でも変わらない。
芹沢みのりを見ても、かわいいとか、触りたいとかの欲求は全く出てこないのだ。
しかし、ふとした瞬間、ちょっかいをかけたくなるのだ。
日向で寝転ぶ野良猫を撫でてやりたくなるように、無意識下でちょっかいをかけたくなる。
たとえば、休日の午後。
掃除と買い出しを終えたみのりがソファであくびをする。
くっと伸びた喉元に、なぜか目が吸い寄せられる。
みのりの足にあたり、落ちる郵便物。(みのりは毎日、家の郵便受けから郵便物を回収している)