私の愛しいポリアンナ
「触ってもいいか?」
今更何を言っているのだろう。
無許可でキスをかましておいてここで確認するのも変な話だ。
みのりの胸元にかかる髪の一房をつまむ。
別に綺麗でも触り心地がいいわけでもない。普通の黒髪だ。
無言でモサモサとみのりの髪をいじる秋。
「溜まってるんですか?」
処理しましょうか?となんてことないように尋ねてきたみのり。
秋は一時硬直した。
女としてそれはどうなんだ。
そんな秋の内心も知らず、「私がずっと入り浸っていたから女の人も呼べなかったんですね」なんてトンチンカンなことをのたまう。
この女、貞操観念どうなってんだ。
なんの感慨も情緒もなくそう言えるみのり。
誘いに乗ってもよかったが、秋の胸に巣食うムカムカがさらに悪化しそうだ。
「やっぱいい」
それだけ言って、秋はふいと顔を背ける。
バラバラと秋の手からみのりの髪が離れていく。
不思議そうな顔したみのりを置いて、秋はそのまま自室に戻った。