私の愛しいポリアンナ
「一時の気の迷いでしょうかね」
「一応これでも一週間は悩んだ」
「じゃあ、追加でもう一週間、様子を見ましょうか?」
なんだか病院で診察を受けている感じだ。
みのりは秋の告白をしっかり正しい意味で受け取っているのかも疑問に思えてきた。
じとりとした視線で見つめれば、みのりは困ったように笑った。
「いえ、わかってはいるんですよ。ただ実感がないだけで」
設楽さんが、ねぇ。とポワンとした顔をするみのり。
「前も言いましたけど、私は設楽さんは無理だと思います」
「・・・あんたがいなくても生きていけそうだから?」
「そうです。私、頼ってもらわなきゃ満足しないんで、多分」
そうだろうな、と秋は思う。
みのりはだからこそダメ男に惹かれるわけで。
秋は秋でみのりがいなくても生きていけるだろうし。
みのりと秋はなんとも微妙な空気の中、目を合わせた。
カリッと、トーストをかじるみのり。
「じゃあ、私は明日にでも出て行きますね」
みのりのその言葉に「え」と思わず声が出た。
出て行く。
なんで、と問おうとして、寸前で止めた。
考えてみれば当たり前か。
思いを告げた男と、それを断った女が1つ屋根の下なんて気まずいどころの話ではない。
そうだな、とみのりに答えながらも、秋は諦めてはいなかった。
戦略は特に考えていないが、望みが薄いとは思っていない。