私の愛しいポリアンナ
どうしよう、と手に持ったグラスを見つめる。
その時、彼がバーテンに目を向けたままみのりに言い放った。
「つーか、そのキャラいつまでやんの?」
バーテンが手際よくウイスキーに氷を入れる。
飴色の液体がグラスの中で揺れる。
彼がウイスキーを受け取る時に、みのりはモスコーミュールを頼む。
カラン、と彼の手の中のグラスが音を立てた。
みのりは横目でバー内を確認する。
マオちゃんとお兄さんは遠いところにいる。
まだ話は続きそうだし、万一にも聞かれる可能性は低いだろう。
バーテンがお酒を持ってきてくれ、それを受け取ると同時に尋ねた。
「なんでわかったんですか?」
みのりがそう尋ねると、ようやく彼はこちらを向いた。
今日、初めて目があった気がした。
「本当におっとり、ふわふわしてるタイプの子なら俺の言葉に傷ついてしょげるんじゃないかと思ってさ」
結構きついこと言ったつもりだったけど。
デリカシーないとか。
話し方どうにかしろって。
なのに、あんた微塵も気にしてないし。
気にならないってことは、本当は違うんじゃないかって思ってさ。