私の愛しいポリアンナ
「鹿川をカジノにすること、恨んでるのか?」
今までの会話はそう取れた。
みのりの様子。
会話の内容。
鹿川のこと。
声音は恨みなんて感じさせなかったが、カジノ計画に出資している秋を恨んでいたとしても不思議ではない。
なんにせよ俺は、みのりが愛するタツヤの場所を奪った男だ。
秋から見たら社会の泥の集まりでも、みのりやタツヤやその他少数にとってみたら大切な場所だったのかもしれない。
鹿川にしか居場所がない人たちも、確かにいたのだと秋は気付いた。
だからと言って、もはやカジノ計画を降りることはできないが。
「わからないです。今では。最初はあなたが憎くてしょうがなかったんですけど」
「憎まれてたのか」
「だって私からタツヤを奪うから」
みのりのパンプスがカッと軽い音を立てる。
二、三歩速度を早め先へ進む彼女。
くるりとこちらを振り返る。
「でも、今は平気なんです。タツヤがいなくても」
その言葉は本心なのだろう。
やけにスッキリとした表情をしていた。
秋はその表情は嫌いだった。
見ていたくない。
もやもやとした粘ついた感情が生まれる。
考える前に秋の口は動いていた。