私の愛しいポリアンナ
「っていうか、わざと人から怒られたり、呆れられそうなキャラやってんの?」
「まぁ、そんなとこですね」
まだまだだったかぁ、とため息を吐きながらお酒に口をつける。
ほんのすこしの甘さが丁度いい。
さっきのカシオレは甘すぎた。
隣の彼は片眉をあげ、みのりを見てくる。
「フワフワした不思議ちゃんでも目指してんの?」
「目指すっていうか、それが理想なんですよ」
「君の理想?」
「いや、私の好きな人の」
うわ、メンドクセェ、という感情がありありと彼の顔に浮かんだ。
めんどくさかろうが、君にはもう少し地獄に付き合ってもらおう。
演技をしていたことがバレてしまい、開き直ったみのり。
グラスを半分飲み干し、彼に向き直った。
そして指折り、説明し始めた。
「一人目の彼女はおっとりした子。運動会でもビリになるような、ぽっちゃりの柔らかそうな子。二人目は全然勉強できなくて高校を中退した子。三人目は、まぁ、なんつうか、売春で食いぶち稼いでる子。この子はボンヤリしてて、すぐ場に流される子でしたね」
「は?なんの話?」
「私の好きな男の、歴代彼女の話です」
「いや知らねえよそんなん」
彼がドン引きの顔で席を立とうとするのを引き止めた。
たくましい腕をガッチリつかみ、逃がさないというように。
ここまできたら、最後まで聞いてくれ。
そんな思いを込めて彼を見つめる。
みのりは自分の目がギラギラしているのを感じた。