私の愛しいポリアンナ
「彼は今までに十六人ほど彼女がいたんですけど、どの子もみんなボンヤリしてて、その上、彼より頭が悪かった」
「・・・・で?」
「だから私もそうしたんです」
半目の彼はしばし黙った後、諦めたかのように椅子に座り直す。
ストーカーかよ、とげんなりした口調でこぼされた。
失礼な。
そんな犯罪まがいのことはしない。
「で、結果があのキャラか」
「そういうことです。結構ボンヤリおっとりのバカな女の子に見えたと思うんですけど」
「いや、あんた素のままでも結構バカだと思う」
「あ?」
ガラ悪く睨み付けても、彼は肩をすくめただけだった。
店内のオレンジ色の照明が、彼の茶髪を暖かに照らす。
「ボンヤリホワホワ、おっとりしてて、婚期に悩んでいても自分からは何も動かない、そんな子っていう設定でした」
「何その自立する気の無い女」
「でも、彼はそんな、自分では何もできない子をほっとかないタイプなんです」
「あー、庇護欲を刺激されるタイプなわけね」
ふんふん、と聞いてるのか怪しい相槌を打たれる。