私の愛しいポリアンナ
「一度、二人で面会したいんだが」
気づけば秋の口からそんな言葉が出てきた。
電話の向こうの相手は嫌そうな声を出す。
『安全上の問題から、それは承知いたしかねます』
「大丈夫だ、殴られようが骨を折られようが俺の自己責任だ。施設の監督問題を責めたりしないさ」
相手が少しためらう気配がした。
「書類にサインしてやってもいい。いくらでも。あぁ、あと、施設の支援金も増やすよ。いくら増額するかはそっちが決めていい」
少しの間を置いて、向こうから諾の返事が来た。
あまりのうまい話に納得いっていない口ぶりだった。
『なぜ、会いたいのですか?』と最後に個人的な質問が飛んできた。
なんでだろう。秋もそう思いながら、自分で笑ってしまった。
「さぁ。俺が鹿川を潰したからかな」
面会は、次の週の水曜、昼に行われることになった。