私の愛しいポリアンナ
「会いに行こう。タツヤに」
思わず立ち上がって、秋はそう言っていた。
ガタリと椅子の動く音に目を瞬かせるみのり。
「え、会っていいんですか?」
「いいさ。あんたが、ポリアンナの下に埋もれていた、本当のタツヤに会う気があるんだから」
「んん?」
ちょっとポエミーなことを言ってしまい秋自身恥ずかしかったが、ここはもう勢いだった。
だって、みのりが変わったのだ。
今まで笑っているタツヤしか見ようとしなかったみのり。
遠い惑星にいるタツヤを、望遠鏡で覗く事しかしなかったみのり。
彼女が、ようやくロケットに乗ってタツヤの星に行く勇気が持てたのだ。
ポリアンナじゃない、『殺されたかった』と言っていたタツヤを、ちゃんと知ろうとしている。
「っていうか、設楽さん、タツヤの居場所知っているんですか?」
「知ってる。3日前にも会った」
「え!?」
なんだそれ!?といったふうに驚いているみのりの顔がおかしくて笑ってしまった。
笑われたことに不機嫌になる彼女。
それでも笑いが止められない秋には、眉間に刻まれたシワさえも愛しく見えた。
「会いに行こう。それで、今度はしっかり怒れ」
秋はそう言いながら、こちらを見つめてくるみのりの手を握った。
柔らかな手。
しっとりとした心地よさ。