私の愛しいポリアンナ
「って言うか、なんでマスコミはこう、不倫とか熱愛とか、どうでもいいことばっか放送するんですかね〜」
ミヨちゃんが綺麗な浅黄色に塗られた自分の爪を見ながらそうこぼす。
浅黄色の爪は、彼女の青がかった髪と不思議とマッチしている。
このよくわからないバランス感覚も、若さゆえなのだろうか。
コーヒーを飲みながらみのりは顔をミヨちゃんの方に向ける。
「やっぱり人が食いつくんじゃないの」
「そりゃあ、人の恋愛事情は聞きたくなりますけど、それはあくまで会話の中でですよ!こんな一方的に調べて晒しあげられてもシラけるっていうかぁ」
ミヨちゃんの話のリズムにみのりはいつまでも慣れない。
けど、だって、で話が永遠に続いていく。
みのりもそこまで明確にハキハキ話す方ではないけれど、彼女の話の長さは独特だ。
話の句読点はどこだろう、と思いながら聞いていた。
「この前まで、女優のNの不倫騒動の話ばっかだったじゃないですかぁ」
「あー、あったねぇ。懐かしい」
つい半年前のことなのに、体感ではもう過去の人だ。
人は飽きるのも早いし、忘れるのも早いのだろう。