私の愛しいポリアンナ







じゃあ、私はガッツリ食べますね、と一言伝えておく。

今日は朝から謝りっぱなしだったので昼食も食べられなくてお腹が空いていたのだ。
納期前にミヨちゃんがデータを吹っ飛ばし、その対応にここ三日は追われていた。
データの復帰、締め切りを延ばしてもらうようにひたすら頼み込み。
なんとか終わった今日はひたすら迷惑をかけたことに謝る。

だいぶ命を削られた気がする。
まぁ、ミヨちゃんも涙目で謝っていたのでグチグチいうのはやめよう。

本当は疲れ切っていたので、設楽秋との食事も断りたかったのだ。
ただ、「俺の奢りだから」の言葉につられた。
三日ほどまともな食事を取っていなかったし、とにかく何か栄養があるものを食べたかった。

生ハムとサラミの盛り合わせ、アサリの白ワイン蒸し。
自家製ラザニアにマルゲリータ。
あとモッツァレッラチーズを250g。

店員にスラスラとそう告げる私に、設楽秋は何とも言えない表情をした。


「で、タツヤがポリアンナ症候群っていうのは知ってもらいましたけど、」

「あんた大食いコンテストにでも出るの?」

「いえ。ここ三日まともに食べられてなかったのでお腹空いてたんですよ」


みのりの言い訳にフゥンとつまらなさそうな返事。
大変だったんですよ、とミヨちゃんのデータぶち壊し事件から説明する。

説明するうちに設楽秋の顔が曇っていく。
あんたのとこのデータ管理どうなってんだ、と。
知らないですよと返す。


「ま、あんたがそれでいいならいいけど。俺はタツヤについて聞きに来たんだしな」

「そう、タツヤですよ!」


逸れていた話が戻ってきた。
そうだ、私はタツヤについて話したかったのだ。





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